白内障とは
眼球内にある水晶体が、老化などによって白く濁ってくる眼疾患です。
私たちが目で見ている映像は、実は目の中の水晶体を通り抜けた光が網膜といういわばスクリーンに当たり、映し出されたものなのです。カメラにたとえれば、レンズとフィルム(デジカメの場合はレンズと内部にあるイメージセンサー)の関係となります。
水晶体が濁ってしまうことは、カメラのレンズが曇った状態と同じです。水晶体で光が散乱するようになるため、物が白くぼんやりと霞んで見えたり、光がひどくまぶしく感じられるなどの症状が出現してきます。
そのまま症状が重くなった場合は視力はさらに低くなり、眼鏡でも矯正しきれず、日常生活に不都合が生じてきます。
白内障の原因
白内障という病気の本体は、前記のように水晶体の濁り、つまりはたんぱく質の変性です。濁りはいろいろな原因で生じてきますが、何と言っても、加齢によるものが多いです。
ほかにも、糖尿病、アトピー性皮膚炎などの全身性疾患、けが、薬剤、紫外線、喫煙習慣などが挙げられます。
白内障の主な症状
- 目の前が白く霞んだように見える
- 光がひどく眩しく感じられるようになった
- 物がぼやけて何重かにダブって見える
- 視力が低下してきたが、どんなに度数を変えても眼鏡が合わない
など
白内障の検査
白内障かどうかについての問診・視診をした後で、視力検査と細隙灯顕微鏡検査を行うのが一般的です。
視力検査
裸眼視力および矯正視力をそれぞれ測定します。裸眼視力が悪くても、矯正視力が良ければそれほど白内障の心配はありませんが、レンズを装着した状態で測る矯正視力が落ちているような場合は、白内障や何らかの網膜の障害などが疑われます。
細隙灯顕微鏡検査
細隙灯(さいげきとう)顕微鏡という特殊な検査機器を用い、斜め方向から目に光を当ててから目を拡大して観察します。水晶体の状態を詳細に調べられるため、白内障の診断には欠かせません。白内障にかかっている場合には、水晶体の濁りやその程度がよくわかります。
白内障の治療
初期、あるいは濁りの具合が軽度のようなら、経過を観察します。
白内障の治療として点眼薬や内服薬が処方される場合がありますが、こうした薬は白内障の進行をある程度遅らせることはできますが、通常の生活が困難な程度に白内障が進行してしまったら、多くの場合、手術療法が検討されます。
原発閉塞隅角緑内障に対する治療として白内障手術が選択される場合もあります。
白内障手術について
当院では、白内障の「日帰り手術」を行っております。
手術は、点眼麻酔をしてから行います。術中、痛みはほとんど無く、意識もはっきりしていますので、医師やスタッフの声が聞こえますし、普通に会話もでき、リラックスした状態で手術をお受けいけただけます。
手術には顕微鏡を使用します。切開創は2.5mm程度と小さく、水晶体の濁った中身を超音波で砕いて取り除いた後、人工の眼内レンズを挿入します。手術時間は通常10~15分くらいです。
眼内レンズは、取り出した水晶体に代わってピントを合わせる働きをします。眼内レンズを挿入した後は、異物感は無く、取り外しの必要もありません。一度挿入すれば、半永久的な使用が可能になります。
白内障手術の大まかな流れ
- 点眼麻酔後、水晶体を包んでいる袋を切開します。
- 濁った水晶体の中身を超音波で砕いて取り除きます。
- 人工水晶体(眼内レンズ)を折り畳んで挿入します。
- 水晶体の袋の中に透明な眼内レンズが収まります。
人工水晶体(眼内レンズ)のいろいろなタイプ
単焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズとは、ピントが1点にだけ合うレンズのことです。
人間の目は通常近くにも遠くにもピントを合わせることができます。しかし、この単焦点眼内レンズは焦点が1点だけですから、近くか遠くかのどちらかに合わせる必要があります。したがって、近くにするか、遠くにするのかについては事前に医師と話し合いの上、決めておくことになります。
ピントが1点であることから生じる不便については、近視用の眼鏡や老眼鏡で補うことになります。
しかし、レンズ代も手術費用も医療費はすべて保険適用になりますから、経済的な負担は少なくて済みます。
眼鏡をかけても構わず、より鮮明な視力を求める方に適しています。
多焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズの不便さを解消するために開発されたのが、多焦点眼内レンズです。
近くか遠くのどちらか1点にのみ焦点を合わせなくてはならない単焦点眼内レンズと違い、多焦点眼内レンズは遠近両用のレンズです。そのため、近くと遠くの2ヶ所にピントを合わせることができるので、眼鏡の使用頻度を減らすことができます。
しかし、健康保険が適用されないため、医療費はすべて自費になり、単焦点眼内レンズに比べ、経済的な負担は大きくなりますが生命保険の先進医療に加入していれば負担が軽くなることがあります。
なるべく眼鏡に頼りたくないという方や、仕事や趣味、スポーツなどを行う際に近くも遠くも眼鏡無しで見たいという方に適しています。
※乱視などにより、対応できない場合もございます。
当院は難治性白内障手術にも可能な限り対応
白内障の中には、例えば下記のような難治性のものがあります。当院では、こうした「難治性白内障」の手術にも可能な限り対応いたしますので、ご相談ください。
- 角膜混濁を伴う白内障
- アトピー性白内障
- 過熟白内障
- 外傷性白内障
- 水晶体脱臼